カウンセリング

Mental-health

聞きたかったメンタルヘルスの話 vol.4

このコラムは筆者が以前某医療コラムで連載していた修正前の記事本文です。内容は作成当時のもので、現在は異なることもありますので、ご了承下さい。あくまでアーカイブとしてご覧ください。

恋人との別離とカウンセリング

当時、僕には恋人がいました。病気のことも話しました。理解してもらえました。しかし、自分の心の中が何かに押しつぶされそうで、恋愛関係を継続することがきつくなってきました。心がどうにもこうにも自由が利かなく、別れてもらいました。十分な説明もできずに。

 心の中にもやもやとした言葉にできないものがたくさん溜まっていました。当時通っていたメンタルクリニックでは、頭痛が引かないとか日中だるいとか症状について相談はしていましたが、心のモヤモヤは話せずにいました。そこで、当時心の問題についてメールやFAXで相談を受け付けていた団体があり、相談してみたところ、カウンセリングを勧められました。また、カウンセリングをやっているクリニックも教えていただきました。

因みに、精神疾患になると白か黒かという2極化が楽になり、グレーのままでいることがしんどくなりやすいです。僕の別離の動機は、別れることで楽になりたかっただけかもしれません。

メンタルクリニックや精神科病院には臨床心理士のカウンセラーがいるところがあり、そこでは定期的にカウンセリングを受けることができます。カウンセリング業務だけを行っているところがあります。料金も様々で、保健医療内で設定しているところもあれば、30~60分10,000円のような高額設定のところもあります。(参考サイト:一般社団法人 日本臨床心理士会http://www.jsccp.jp)僕が教えてもらったクリニックではカウンセリングも保険適用で負担が少なく受けることができました。

クリニックを変え、ドクターにカウンセリングを受けたい旨を伝え、週一回50分、カウンセラーとの時間を設定してもらいました。

そして初めてのカウンセリングに挑みました。広い部屋にゆったりとした席が二つ、そこに優しそうな男性のカウンセラーが座っていました。軽く自己紹介を受けたところで、「では、話してください。」と言われました。

僕はてっきり、まず質問されて、それに答えていき、分析されたり、対処を教えてもらえるスタイルがカウンセリングだと思っていました。言葉にできないモヤモヤがある僕は何から話し始めればいいのだろうと戸惑いました。

しどろもどろでしたが、自分の身の回りに起きていることから少しずつ話しました。仕事のこと、恋愛のこと。途中、理解を深めるための質問はあったものの、ほぼ僕が話し続けていました。戸惑いの中、50分は過ぎ、次回の約束をしました。

そして、2回、3回と続けたところ、段々話すことに慣れてきました。次第に次回は何を話そうかと、自分の中で考えや想いを整理し始めました。夢にもその影響が出てきました。僕は家族に怒鳴ったり、声を荒げたことは一度もなかったのですが、「なんであの時こうしてくれなかったんだぁ!」と夢の中で叫んでいました。自分でもびっくりしましたが、回を重ねるごとにこうした自分のモヤモヤが僕の口から言葉となり自覚することになりました。

これが実はカウンセリングでの一つの大きな意味を持っていたようです。その後カウンセリングは何年も続いたのですが、そこで自分のことを自分の口で話すということが自然になっていきました。

自分の困りごとを人に伝えることは本当に大変なのです。「辛い時に辛いと言えません。それが辛い…。しんどい時にしんどいと言えないのがしんどいのです。出来ないことを出来ないと言うのは出来ないのです。」(「当事者からの50のヒント+α」より)自分の辛さを素直に伝えられていたら、精神疾患などになりにくいかもしれませんね。

カウンセリングは精神医学の専門家・臨床心理士が相談内容によりアドバイスをくれたり、対処方法など指導してくれますが、自分の言葉で自分のことを話すという作業はとても大切だと思います。人に言えず自分でも気づかないうちに歯を食いしばって我慢していたことが、実は膿(うみ)になって溜まっているかもしれません。モヤモヤした言葉にできないものやこんがらがって整理できないものが膿です。それを専門家との共同作業で、安全な場所で膿を出し、自分でそれに気付き、傷を癒していく。カウンセリングは処方される薬と併用する心理的な治療の一つかもしれません。

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