メンタルヘルスの原因

Mental-health

聞きたかったメンタルヘルスの話 vol.2

このコラムは筆者が以前某医療コラムで連載していた修正前の記事本文です。内容は作成当時のもので、現在は異なることもありますので、ご了承下さい。あくまでアーカイブとしてご覧ください。

原因

 僕は仕事の激務の中、うつ病を発症しました。憧れの仕事でした。だから頑張りました。またあまり不満を人に伝えていませんでした。1人でいつの間にか我慢していました。責任も果たそうとしていました。期待に応えようと頑張りすぎていました。

 知人からは「いつも笑顔で頑張っていた黒川さんがうつ病になるなんて」との声もいただきました。

 うつ病発症の起爆剤は「激務」でしたが、要因はそれだけに限らないと思っています。やや真面目な性格になったのは、家風もそうでしたが、学校や部活での友人関係から育っていった自分がありますし、不満を口にしない我慢してしまう性格は、いつの間にかそうした癖が自分についてしました。

 精神疾患になりやすい性格とか、予防するにはなどの情報はいっぱい世の中には流れていますけど、今や誰がなってもおかしくない時代です。

 例えば女性のライフステージをあげてみましょう。思春期から始まり、恋愛、就職、結婚、妊娠、産後、子育て、公園デビュー、ママ友、マイホームを持った時、子供の教育、子供の思春期、子離れした時、更年期…。マリッジブルー、産後うつ、更年期うつなど耳にしたことがある方も多いかと思います。新居を持った時にかかりやすいのは「引越しうつ」と言われています。思春期には「ひきこもり」になってしまう方もいます。人生には失敗・挫折・失恋・つらい別れなどもあります。精神疾患に陥りやすい時期というのはいつだってあるのです。

 ビジネスにおいても精神疾患に陥りやすいシーンがあります。過労、ストレス、パワーハラスメント、セクシャルハラスメント、マタニティハラスメント、不本意な異動、リストラ、転職などなど。僕自身も発症の起爆剤は前者3つでした。

 女性のライフステージやビジネスシーンを例にあげましたが、性別、時期、場所問わず、精神疾患はいつ自分自身や周囲の人がなるかわかりません。「震災うつ」という言葉もニュースで耳にしたことがありませんか?震災や天災は日本では身近なことです。また事件・事故に巻き込まれてPTSD(心的外傷後ストレス障害)になってしまうこともあります。私自身も地下鉄サリン事件の現場に遭遇してしまったことがあります。高齢化社会の日本では「介護うつ」に悩まされている方もいます。

 予防も大事ではありますが、肝心なのはいつ誰が精神疾患になったとしても、本人や周囲が早く異変に気づき、医療につながり、健全な情報や支援のもと、安心して治療していける、そして暮らしていけることなのです。もし自分が今不安であれば、誰かに相談する=つながるということです。

 それではどんな時、医療につながった方がいいか。これは感情のコントロールがうまくいかなくなった、身体面でも原因不明のだるさや頭痛が続いている…など2週間を一つの目安として回復が見られない場合、受診してみましょう。軽く相談する気持ちでいいです。「精神科」など敷居が高い場合は「心療内科」や「メンタルクリニック」もあります。身近な誰かについて行ってもらってもいいし、誰にも知られたくない場合は1人で受診してもいいです。大事なのは「医療とつながり、早期に適切な処置を受ける」ことです。

 待合室で少しお待ちするかもしれませんから、気分を紛らわせるものがあったら、飲み物や、本、スマートフォンなどもお持ちください。また事前に伝えたいことがあればメモに書いておいてもいいです。箇条書きで構いません。

 そして、何を相談すればいいか。これはそのつらい時期にあったことや身体に起きたこと、ココロの状態、すべてを話してください。身体面で弱い点があったらそれもお伝えください。

 医師があなたの言葉を受け止め総合的に判断します。病気ではない、と判断される場合もあります。でも、改善方法がわからなければ、医師に聞いてみてください。何かクスリを処方されれば、指示通りに服薬してください。病気かもしれないと判断されても、すぐに病名はつかないかもしれません。でも焦らず治療を続けてください。経過を観察して病名を診断されることもあります。

 僕自身も初めに処方されたのは軽い抗うつ剤と睡眠導入剤です。

 できれば、環境改善も試みてください。何か1人で抱えてしまっていることがあれば、分担できないか。また誰かに相談したい場合は、無料の電話相談窓口なども利用する方法があります。誰かに甘えてみましょう。仕事が辛い場合は、職場に改善を求めることも有効です。生活で何か支援を受けることができる場合は受けてみましょう。地域にはいろいろな支援が増えつつあります。僕は今、部屋の片付けをヘルパーに頼んでいます。

 ただし、重要な決断をする場合は必ず誰かに相談しましょう。1人でいっぺんに変えてしまうとかえって負担が多くなることがあります。

 医療につながる。誰かに甘える。人とつながる。大事なことです。決して恥ずかしいことではありません。

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