メンタルヘルスと身体症状

Mental-health

聞きたかったメンタルヘルスの話 vol.7

このコラムは筆者が以前某医療コラムで連載していた修正前の記事本文です。内容は作成当時のもので、現在は異なることもありますので、ご了承下さい。あくまでアーカイブとしてご覧ください。

 前回、うつ病になった時、どんな状態が出るかお話ましたが、今回は身体に出る変化や症状をお伝えしたいと思います。

 精神疾患の治療をしていると、身体にも色々な変化や症状が出てくることがあります。精神疾患と関係ないように思えて、実は関係が深いこともあります。また、服薬による作用・副作用の関係で起こる身体症状もあります。また、加齢、他の病気の併発との関係で現れることもあります。

体温の変化

自分の平熱を意識している方はどれくらいいらっしゃるでしょうか。平熱が下がる、また体調が悪くなるサインとして微熱が続く、高熱が出る、なかなか熱が下がらないなど、体温に変化が生じることがあります。僕自身、若い頃平熱は36.5度でしたが、今は35度台です。体調を崩すと微熱が出るようになりました。

血圧などの変化

血圧にも変化が生じる場合があります。もともと高血圧の方は薬などへの配慮があります。また向精神薬を併用することで血圧が下がる場合があります。このことで僕は低体温・低血圧の体質になりました。フラフラになることがあります。これは新陳代謝や基礎代謝を下げてしまいます。また、血液の色々な値に変化が出てきますので、定期的な血液検査をすることをお勧めします。

体重の変化

食欲がなくなったり、食欲が出過ぎてしまうこともあります。食欲が落ちたり、食べても戻してしまうことにより、摂食障害を起こし、体重が減ることがあります。逆に食欲が止まらず、満足感を得やすい甘いお菓子や炭水化物を多く摂取し、体重が増えてメタボになる方は多いです。

眠気やだるさ

常に眠気があって体がだるかったり、夜中に起きてしまう早朝覚醒が起きてしまうこともあります。体がだるいと運動なんてする気も起きず、横になっていることが多くなってしまいます。歯を磨くこと、風呂に入ること、リモコンを取ることさえ面倒くさくなってしまいます。

のどが乾く

向精神薬の副作用として、のどが乾きやすくなることがあります。そこで甘いジュースなどを多く摂取し、尿酸値に影響する場合があります。尿酸値が高くなると痛風を発症します。また水をたくさん飲み過ぎてしまう水中毒になることもあります。

便や尿

ストレスを抱えると下痢や便秘を繰り返す人も多いかと思いますが、精神疾患になると強調されて日々の生活で苦しむ方がいます。尿意が頻発する頻尿や逆に尿が出にくくなるなど便や尿といった排便排尿機能に影響が出ることがあるので変化を見逃さないようにしましょう。

皮膚

僕もそうですが、ストレスで発疹が出ることがあります。掻いているうちに皮膚の状態が悪化したりしますので、直接的原因がわからない場合は医師に相談しましょう。また、免疫力低下により帯状疱疹になる場合もあります。この痛みや痒みはきついものがあります。これも身体のサインですので、専門医のもと治療しつつ、今の生活に無理がないか振り返ってみましょう。

性機能障害

実は相談しにくい症状が性機能障害です。性機能というのは男女問わずその方の尊厳に関わり、人の営みとして重要なものですが、なかなか他人に相談できるものではありません。そうしたことから、治療が遅れがちになります。オルガスムを感じられなくなることがあります。女性ですと月経不順、生理不順を起こしがちです。ホルモンバランスを崩して起きるのか、こころの不調で症状が出るのか、見極めは難しいですが、治療は双方からアプローチしていきましょう。男性は勃起しにくくなったり、性液が出なくなるといったことも起きます。そのようなことが起き始めたら、恥ずかしがることなく医師に相談できる環境が望ましいですね。

身体の歪み、痛み

精神疾患になると身体の姿勢にも変化が出ます。先ほど述べたように横になる時間が増え、姿勢の左右のバランスが崩れるなどで、怪我を起こしやすくなりもします。過緊張から肩が上がる状態が続くこともあります。また身体の一部に痛みが生じ、ぬぐえなくなることがあります。痛みがある生活は苦しいので、早めに医者に相談しましょう。

その他の身体症状

精神疾患になると薬の影響や生活習慣の変化により、自律神経のバランスが崩れ、基礎代謝や免疫力の低下などにより、様々な症状が出ます。僕自身もストレスには弱くなり、加齢とともに、治療のために病院に通う日数が増えてしまっています。突発性難聴になり、メニエール病にもなりました。糖尿病にもなり、熱発すると解熱しにくくなりました。骨髄炎になった時はどうしてここまでなってしまうのか、と自分自身が嫌になる時もありました。でも、一つ一つ治療しながら暮らしています。

精神疾患になると精神の症状の改善が優先的になり、身体の不調の治療は隠れがちです。でも、双方からのアプローチで、暮らしは改善されます。我慢しないで、諦めず医師に相談しましょう。と言っても、なかなか言いづらいものですよね。そこで身体の不調を言いやすくするためのシートを作りましたので、ぜひ活用してください。

また、このことをHeAL JAPAN Initiativeでは啓発しています。僕も活動に参加しています。http://healjapan.info/

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