聞きたかったメンタルヘルスの話 vol.22
このコラムは筆者が以前某医療コラムで連載していた修正前の記事本文です。内容は作成当時のもので、現在は異なることもありますので、ご了承下さい。あくまでアーカイブとしてご覧ください。
精神疾患の治療には、薬による治療とそれ以外の治療を相乗的におこなうことで、いい効果があります。前回「セルフケア」や「マインドフルネス」に触れましたが、今回は基本の薬の話をしたいと思います。
薬の効果
精神疾患に処方される薬は、精神症状に対して出されます。それは症状を解決するというよりは緩和する、やわらげるといった方がいいでしょう。睡眠障害に関しては解決する面もありますが、眠すぎてしまったり、早朝覚醒が起きてしまったり、調整が難しかったりします。薬の効果は体調や季節などのタイミングにより効果に変化がある為、効いているのか?効き過ぎていないか?不安になることもあるとおもいます。そこは生活への影響もありますので、主治医に相談しましょう。
薬の副作用
精神疾患に限らず、薬には副作用がつきものです。薬は負傷部分に直接塗布する薬は局所的に効果が見られますが、服薬や注射などでカラダに入る場合、他の部分へも影響を与えてしまいます。花粉症に効く薬の多くが眠気を誘ってしまうというのがわかりやすい例でしょう。体内のネットワークに成分が届き、目的とした効果も得られますが、ネットワークは別のところにもつながっているため、目的でない作用が働いてしまうのです。副作用を抑える為の薬が出ることもあります。また副作用と気づきにくいものもあったりします。副作用の図とチェックシートを掲載しますのでご覧ください。
薬の副作用も生活に影響する重要なことなので、主治医としっかり相談してください。副作用というと軽く聞こえますが当事者にとっては弊害でもあるので、医師も真摯に向き合わないといけません。
薬は飲み続けなければならないの?
向精神薬は一時的に症状を緩和しますが、短期的に解決できるものではありません。飲み続けて良い状態を維持し、体調全体を安定させていく目的があります。服薬を勝手にやめてしまうと、いい状態を維持できなくなり、症状が悪化したり、新たな症状が出てくることも考えられます。服薬を主治医の言う通りしつづけ、状態が安定していくと、減薬に向かいます。それを繰り返していくと、最小限の服薬で済むようになると考えられています。なので飲み続けていく必要性はあります。しかし疑問に思うことがあれば、薬剤師でもいいので相談してみてください。
薬のかたち
薬には錠剤、粉薬、カプセル、液体などカタチが様々です。それは飲んでから、どのあたりで体内に吸収されるのがいちばんいいか設計、計算されているためです。飲みやすい薬、飲みにくい薬があるかと思います。また同じ成分の薬でも形状の違うものや、ジェネリック薬品もある場合があります。そんなときは医師や薬剤師に相談して見ましょう。
薬は患者と医師のコミュニケーションから
精神疾患の治療は患者や家族の訴えと医師の聞き取りにより、医療の場では主に処方薬の服薬でおこなわれます。このコミュニケーションがうまくいかないと、治療にはいい結果は得られません。患者としては体調を素直に伝える必要があるでしょう。また、医療側(医師や看護師、薬剤師など)には、それを聞き出す能力が求められるでしょう。肌が合わない場合は苦痛でしかありません。そんなときは医師を変えるもしくはセカンドオピニオンなどを利用するのがいいかと思います。
僕に現れた副作用
いまの処方になったのは3年くらい前で、それまではもっと多くの薬を飲んでいました。当然、副作用もありました。70kg代だった100kgを超えました。肥満で糖尿病にもなりました。今は、80kg代後半です。向精神薬や睡眠薬を飲んだああとは喉が渇きますし、お腹も空きます。そして血圧が下がりました。これには「最近、血圧が下がってフラフラしてきつい」と医師に相談したところ、「向精神薬は血圧を下げることがあるから薬を減らしましょう」と減薬になりました。今では血圧も正常になりましたが、起立性低血圧は未だに起きています。
僕にとっての向精神薬や睡眠薬
僕にとってのこれらの薬は生命維持装置のような役割もあります。薬なしでは眠れませんし、約束を破られたりしてストレスが溜まったりしていても、薬を飲むとそれなりに落ち着きます。なかなか治癒はしませんが、薬には助かっています。
その他の病気の薬
今は向精神薬の他に、糖尿病の薬、鎮痛薬のロキソニン、ストレスが耳に出た時の漢方をしています。何か病気をするたびにいま飲んでいる薬や病歴のことを聞かれると気が滅入ります。お薬手帳やアプリなどもありますが、もう少し使い勝手の良いツールが出来ないかと思っているところです。あまりの薬の多さに不便や苦痛、飲み忘れなどもあります。小分けにして持ち歩くようにしていますが、その薬自体を持っていくのを忘れてしまうこともあります。お薬カレンダーなどを使っている方もいらっしゃいますね。
精神疾患にとっての薬のお話。まだまだ特効薬はありませんが、薬を出す医療とのコミュニケーションがカギを握るようです。薬以外にできる工夫と相乗的に服薬して、快適な暮らしをしたいものです。
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