リフレッシュ

聞きたかったメンタルヘルスの話 vol.11

このコラムは筆者が以前某医療コラムで連載していた修正前の記事本文です。内容は作成当時のもので、現在は異なることもありますので、ご了承下さい。あくまでアーカイブとしてご覧ください。

 今回は、少し軽めのテーマ「リフレッシュ」「気分転換」する方法を取り上げたいと思います。メンタルヘルスでは気分転換はとても大切です。よく知られていることでも、忘れていてできていなかったりもしますから、これを機会に重たい気持ち、リフレッシュしてみませんか?

銭湯やスーパー銭湯で贅沢お風呂!

 家のお風呂でも入浴剤などを入れて気分を変えて入浴できるのですが、銭湯などでは浴槽も広いですし、水圧も水温も違います。最近の銭湯やスーパー銭湯ではジェットバスなどのいろいろなお風呂もありますし、サウナや水風呂もあります。サウナも高温のばかりでなく、低温サウナやミストサウナなど入りやすく、そして発汗しやすいものもあるので水分をこまめに取りながら入るのもオススメです。ゆっくりいろいろなお風呂を楽しんだ後は、家でゆっくり休むのもいいでしょう。お風呂で温まった後の睡眠の質は高いと言われています。また、銭湯などの大きなお風呂での入浴はヒートッショックプロテイン(しなびたレタスにお湯でシャキッとするやつです)を増加させ免疫力を高める効果も期待でき、見直されています。

携帯電話の電源を切り、緑あふれる公園へ!

 近くに少し大きめの公園はありませんか?天気のいい日にサンドイッチやドリンクを持って公園へ行ってみませんか?携帯電話やスマホは電源を切るか、家に置いていきましょう。何にも拘束されず、芝生などで寝転がって風に吹かれ、深呼吸するのは気持ちいいものですよ。植物に囲まれるのもいいものです。携帯やスマホを忘れてみるのもいいものですよ。1日限定でもいいから試してみてください。いかにそれに振り回され依存していたのか、またなくてもなんとかなるのかと気づくはずです。

ヨガやストレッチでゆっくりカラダを動かす!

なかなか運動って難しいですよね。でもストレッチなら少しハードルが下がりませんか?ストレッチだけでも時間をかけてじっくりやると、結構汗をかくものです。ヨガの初心者コースのプログラムがあれば、それもいいかもしれません。大事なのは無理なく呼吸を意識しながら体をゆっくり温めてほぐしていくことです。公立の体育館などでは気軽に参加できるものもありますので、ぜひ参加してみてください。続けることができれば体のためにもいい効果があるはずです。

プールで水泳やウォーキング!

 プールでウォーキングというのも気持ちいいですよ。水の音を聞きながら大きく手を前から後ろに大股で歩くと、いい運動になります。水泳が得意な人は泳ぐのもいいでしょう。プールというのは水圧もかかりますし、汗をかいても不快にならないので、こちらもオススメです。水着になるには痩せてから!筋肉ついてから!などと言わずに行ってみませんか?

初めての喫茶店に入って、紅茶をゆっくり!

 喫茶店などで、ハーブティーなどゆっくりいただくのもいかがでしょう。ケーキセットなどにして、プチ贅沢を味わってみてはどうですか?気になっていたお店にはじめて行ってみるのもいいかもしれません。ただコーヒーやアルコールは気分を高めてしまうことがありますので、ここは紅茶やミルクなどにしておきましょう。温かいものをお勧めしますが、冷たいものが好きな方は炭酸ドリンクなどをゆっくり飲むのもいいでしょう。

今日は美味しいものを食べよう!

 普段家で家事をされている方はサボって、外食しましょう。普段自分が作れないようなご飯を食べるのもいいと思いませんか?コンビニの食堂に頼っている方は、たまにはレストランでお食事してはいかがでしょう。野菜たっぷりの料理などがオススメです。お肉やお魚はよくあると思うのですが、野菜で美味しく食事をいただくのもいいですよ。意外と美味しいメニューが見つかるかもしれません。

小さめの映画館で穏やかな映画を!

 映画というのも気分転換になりますよね。最近では家でもいろいろな映画が鑑賞できるのですが、ここは気分転換に映画館へ行ってみましょう。ただ最近の映画館はサウンドに迫力がありすぎるところもあるので、小さな映画館で静かに映画を観るのもオススメです。ちょっと泣ける映画で涙するのもいいですし、展開がドキドキする映画でもいいかもしれません。大きな画面で静かに見るのもいいですよ。過激すぎる映画でないものを選びましょう。

声のない音楽を程よい音量で♪

 テレビを消して、ラジオに耳傾けるのもいいでしょう。またテレビもラジオも消して音楽を聴くのもいいでしょう。こういう時はボーカルのない音楽を選ぶのもひとつのコツです。そして知っている音楽がオーケストラで再現されているものなどは程よく心を和ませます。

新しいTシャツを買ってお出かけ!

 これは形から入るひとにオススメです。新しいTシャツを着て出かけるというのも気分を変えることがでいます。そのためにいろいろなお店でTシャツを探して歩くのもいいでしょう。気にいる物があるまで探したら、いつの間にか時間が経ってしまったなんてこともあります。他にも洋服のアイテムはいろいろありますがTシャツが値段も手頃でしょう。お気に入りの服が一つ増えるのも嬉しいものです。

動物に癒される

犬や猫の動画や画像に癒される方も多いと思います。ペットを飼っている方は動物に話しかけている方も多いのではないでしょうか。ペットを飼うのは大変という方も最近では「猫カフェ」などもありますし、動物園に行ってゆっくり動物を眺めるのもリフレッシュになります。アニマルテラピーというのも最近話題です。僕自身も動物園に障害者手帳を使いよく言っています。ペットショップで仔犬や仔猫を眺めてもなんとも言えない気持ちになりますよね。

すべて一度にやらないでください!

 幾つか気分転換の方法をあげてみました。いかがでしたか?コツは欲張って複数のことを同時にせずにどれかに絞って、余裕を持ってゆっくりやることです。また、皆さんがやっている気分転換方があれば教えてください。

「考えるチカラ」

 以前このコラムで精神疾患になると感情や思考が希薄になることをお伝えいたしました。感情の数が減り、思いなどが薄れていくわけです。逆を言えば、健康な状態の方は感情や気持ちも表現も豊かであります。そして感情や思いが減ると「考えるチカラ」にも影響が出ます。難しい話など考えるのも嫌になりますし、なかなか答えが出ないものを抱えるのが苦痛になります。精神疾患になる前はこなせた仕事でも、発症後は負担になることがあります。

 でもこの「考えるチカラ」、精神疾患と診断がついていない健常者の方でも身についていなく、悩まされている方が多いようです。「考えられない人が増えている」という記事をよく目にします。「マニュアルがないと何もできない」「マニュアルに書いていないことが起こると対応できない」という方もいるようです。また「考えられない」ことが苦痛で精神科病院にて「適応障害」と診断されたり、「考えがまとめられない」「決められない」ということで自分はADHDではないか?と不安だという声もよく耳にします。

 病気かどうかは医療機関や支援センターに相談(http://www.rehab.go.jp/ddis/相談窓口の情報/)していただく必要がありますが、この感情や思考・考えるチカラといったものは育てることもできれば、回復することもできますし、どうしてもできない場合でもスキルで補うことができます。ただ、それを指摘してくれる人や育んでくれる支援してくれる人が圧倒的に数ないのです。できていない人に「できない人」と勝手にレッテルを貼り指摘や育成をする人が少ないのです。どうしたら育てられるかわからない人が多いからでしょう。

 まず感情を増やすにはどうしたらいいか。これは多くの人と会い、多くの本や映画や歌を読み聞き見て、そしてその感想を口にすることです。夏休みの宿題の読書感想文や絵日記はそれなりに意味があるのです。大人に代筆させていたらそれだけで育てるチャンスを逃していることになります。

 福祉施設では「気分調べ」というものを毎日やっているところも多いです。これは1日の始まりにその日その時の気分を簡単に語るものですが、毎日やっていると「今日は何を話そう」と意識するようになり自分を見つめ振り返るようになります。はじめは「今は眠いです」だけの一言だけだった人が「今日は花が咲いているのを見て季節を感じ嬉しかった」などと言えるようになったりします。気分調べは自分の調子の目安になるよにもなります。これは「しんどい」時に「自分は今しんどいです」と言えるチカラをつける練習にもなります。 

 僕は昔ある福祉施設でほとんど無表情の女の子に出会い、この子は笑わないのかな?と心配になったことがありますが、数年後再会した時にはとてもにこやかに笑っており、感情は回復するんだ!と強く感じたことを覚えています。

 また感情は人を見て、吸収することもあります。コミニュケーションしているうちに芽生える感情もあります。やはり、色々な人やモノとつながることでしょう。これも以前のコラムで取り上げましたがSNSでは感情が制限されます。Face to Faceが理想的でしょう。

 次は考えるチカラ。まずこれはどうしてできないか。できない状態になってしまうか。例えば子供の時のおやつ、皆さんはどうしていましたか?僕の家はあまり裕福ではなかったので前日の晩ご飯の残りやインスタントラーメンの中から好きに選びなさいという状態でした。他にも「今日は100円あげるから好きなものを買ってきなさい。」という家庭もあったでしょう。でも「はい、これが今日のおやつ。」と出されて、何も言わず食べていた方もいるでしょう。ここで違いが出るのが、「選ぶ」「決める」などの「考える」機会があったかどうかです。親が先に決めてしまって、子供の「選ぶ」「決める」「考える」機会を奪ってしまっていた場合、そのチカラが十分育たないことがあります。

 それではどうやったら「考えるチカラ」が身につくか。これは自分で「選ぶ」ことを増やしていくことです。そして「決めて」、「責任を持つ」経験を重ねることです。精神疾患患者への支援のあり方の基本に「自己選択」「自己決定」「自己責任」というものがあります。本人が「どう思い、どう考え、決めるか」ということが大事なのです。今まで自分のことで何かを決めることを誰かに委ねていた方は、自分で「選ぶ」ことから始めてください。

 この「考えるチカラ」以外にも、「人としてのチカラを育てる」ことが教育や家庭、そして支援の場から漏れています。次回は、精神疾患にも関係のある「人としてのチカラ」のことに触れたいと思います。また関心の高いADHDの方への支援にも触れたいと思います。

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