精神疾患と就労

Mental-health

聞きたかったメンタルヘルスの話 vol.9

このコラムは筆者が以前某医療コラムで連載していた修正前の記事本文です。内容は作成当時のもので、現在は異なることもありますので、ご了承下さい。あくまでアーカイブとしてご覧ください。

今回はビジネスにおけるメンタルヘルスと、精神疾患患者の就労についてお話ししたいと思います。

ビジネスシーンにおいてもメンタルヘルスの問題は欠かせません。2016年4月から政府はストレスチェック制度を義務化いたします。ということは、ビジネスの現場にはストレスの要因がたくさんあるということです。

やはり一番は人間関係でしょう。あの人の仕事の振り方が嫌、話し方が嫌い、圧力を感じる、匂いが嫌い。。。

上司と部下においてはパワー・ハラスメントが生じやすいです。そのやりとりにおいてもFace to Faceではなくメールや最近はSNSを使用する企業も多いようです。

特にSNSにおいては、指示を短文で伝えるため、命令が強調された形で相手に伝わってしまいます。その返答や評価も短文であるため、素っ気なくなりがちです。しかも、活字で残る状態となり、これは心に圧力をかけ、感情を極端にさせてしまいがちです。Face to Faceでは、感情や表情、トーンや間などもあるため、伝えたいことの誤差が少なく伝え割りますが、SNSは偏った形で伝わりがちです。そこに上下関係が存在するとさらにメンタルを痛めがちです。

また業務においても、業務の向き不向き、好き嫌い、得手不得手によりストレスを抱えがちです。自分が納得していない業務をこなすのはストレスそのものです。給与に不満があったり、残業が多いこともストレス度を上げてしまいます。

ケアレスミスや失敗もストレスになります。業績が上がらないことも重い負荷になるでしょう。ヒューマンエラーは誰にでも起こることです。そのミスを一人の責任で攻めるのではなく、どうしたら改善できるか、チームで考えることが大事でしょう。

責任者や管理職の立場の人が負荷を抱えてしまうことがあります。そこは職場の風通しをして、コミュニケーションを深くできるようにしましょう。基本は挨拶です。

そして働く日々起こるストレスを長く抱えないことです。早めにリフレッシュすることをお勧めします。飲んで愚痴ることもあれば、スポーツにいそしんだり、趣味に没頭するのもいいでしょう。長くお風呂に浸かるのもいいでしょう。疲労を睡眠までで解消できず、翌朝期初した時に引きずっていたら、注意しましょう。

また、会社に精神疾患の方が出てきましたら、その方のやりがいを取ることなく、どうやったらその人が抱えている荷物を軽くできるか、考えてあげてください。誰にでもこころの病になる可能性があります。もし自分がなったらどうしてほしいか、想像してみてください。

精神疾患になって、復職し始めた方は、緊張気味で身体が重い感じです。決して軽やかではありません。まだまだフルに頑張れませんから、やさしく挨拶したり、少し手伝ってあげたりしてみてください。

それでは、学生の頃発病した方や、精神疾患患者で未就労の方の就職はどうでしょう。障害者法定雇用率は2016年4月現在、2.0~2.2%に設定されています。この障害者は身体・知的障害者を指しますが、精神障害者も同様にカウントされます。実情、精神障害者や発達障害の方の雇用は増えてきています。

ここで言う障害者は「障害者手帳」を所持している方になります。ハローワークでも職業訓練を行っていますし、企業も障害者就労支援に乗り出しています。

訓練できるのは、決められた時間に勤務が出来る(通勤)ことや、PC(主にタイピングやOffice系ソフト)の技術、そしてコミュニケーションなどです。就労支援A型事業所という福祉施設では実際、最低賃金以上の報酬を得ながら訓練ができます。

ただ、精神疾患患者は特にビジネスコミュケーションを苦手とする方が多いようです。大事なのはホウレンソウと教えられ、ホウレンソウとは何?と聞かれれば答えることができる人は多いでしょう。しかし、なぜビジネスコミュケーションが大事かを言える人が少なく、実際にビジネスの現場で報告・連絡・相談ができない方が多いようです。そこで苦しむ方もいます。これに加え、大事なのは挨拶と確認です。この5つのコミュニケーションができないと業務が滞ってしまいます。

また求人ももハローワークや企業が障害者求人として紹介しています。一般求人斡旋をしていて障害者就労も斡旋している企業では、面接の練習や自分の障害の説明の練習も実施しているところがあります。ロールプレイで訓練できるのはとてもいい経験になります。求人情報はどちらかというとハローワークは地元に根差した情報、斡旋企業は大中企業の障害者雇用の紹介をしていることが多いようです。

最近では(大都市に限りますが)障害者合同面接会などもたくさんあります。

面接というのは非常に大事です。やはり障害者を雇う企業は、その方がどういう方なのか、その方を雇うにはどういう配慮が必要なのか知りたがります。それ以外は一般求人と同じでしょう。書類審査では履歴書や自己紹介書類が重要になりますが、実際面接で人柄を見てもらえるのは大きいでしょう。

障害者雇用というのは、昔に比べれば進んできています。しかし、現場のニーズにはまだまだといった感じです。受け皿はまだまだ足りません。精神疾患というだけで、書類審査で弾かれることも多いです。また、雇った後のフォローが手薄であったり、せっかく就労できたものの離職してしまう方も多いのです。精神疾患を隠して就職できても、その継続には大変な苦労があるようです。

特定子会社という企業グループで法定雇用率をカウントし満たす会社もあり、障害者に配慮された会社として障害者を雇っているところもありますが、障害者が皆生き生きと働き、ビジネス的にもうまくいっているというところは少ないようです。特例子会社のスタッフが福祉の施設のようになっているところもあるようです。僕自身はビジネスライクであるべきだと思っています。それをできるかどうかは仕組みを考える方にあると思います。

ビジネスとメンタルヘルスの問題はまだまだこれから深めていく課題です。職場でも当たり前にメンタルヘルスが守られる社会を目指しています。

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